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2012年8月19日日曜日
コーチング 「 マダックススタイル 」
紹介するのは投手王国ブレーブスを築いた伝説の投手コーチ、レオ・マゾーニの著書
原題は”Pitch like a pro”(プロのように投げろ)です。
この本は、マゾーニの技術論というより投球哲学を知るという視点で読むことをお勧めします。
全編に貫かれているメッセージは「ピッチングはシンプルなんだ。難しく考えるな。」というものです。
例えば配球に関しては「打者に読まれてもいい。初球は外角低目のファーストボールでストライクを投げろ。」
要は打者を欺くことを考えるより自分の投球を心がける、ストライクを先行させることが大事。
球種のレパートリーに関してはこう説きます。
「いたずらに増やすな。何を投げるかではなくどこに投げるかが重要なんだ。」
また、満塁の場面では日本のコーチは押し出しを嫌うあまり
「カウントが2-2になったら勝負球を投げろ。スリーボールにしてしまったら投手の負けだ。」という指導をするケースが多いですが、
マゾーニの教えは違います。
「押し出しを恐れるな。スリーボールになることを恐れるな。
甘い球を投げて長打を喰らい3点失うより押し出しの方が遥かに傷は少ないと知れ。」
恐らくこう言われた方が投手は委縮せずに伸び伸びと投げることができるでしょう。
また、マゾーニ門下生はマダックスを筆頭に走者をケアせず走りたいだけ走らせる傾向にありますがそれに関しては
「走者を牽制することは重要だ。しかしそれに気を取られるあまり投球が疎かになっては何の意味もない。」
日本のコーチは「投げ終えたら投手は5人目の内野手だ。」
と投球後に守備姿勢をきちんと取ることを説きますが
マゾーニの考えはそうではありません。
「投球後の守備姿勢を重要視するあまりフォロースルーが中断されたり小さくなっては本末転倒だ。
守備は野手にまかせれば良い。8人の野手は全員が投手を助けるためにいることを忘れるな。」
個人的にはマゾーニの神髄は若い才能を伸ばすというより、
本来実力がありながらなにかのきっかけで自信を失ってしまったベテランを再生することにあるように思えます。
ジャレット・ライトやマイク・ハンプトンが好例でしょう。
その意味ではコーチというよりセラピストです。
「マダックススタイル」 レオ・マゾーニ著 佐野之彦訳
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